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9月25日(日)の「第七回氷川短歌賞選評会」で当日選評対象に挙がった投稿作品です!
【題詠】明

一、明けて着く夜行に携えひとつ詠む吾の幻の青春の恋          北条 暦

二、完璧な陽明門を支えてる逆さ柱のような教頭               風姿

三、二年半マスク美人と言われ来てコロナ禍明ける日の恐怖感         華子

四、明け方に悩みましょうよそうしましょ真夜中は只まなこ閉ずだけ    花乃牛車

五、明るいのがサード知的なセカンドほのかに物憂げなのがショート    遠藤玲奈

六、ゴシックも明朝体も響かないあなたの文字で一筆箋を         ふーみん

七、透明な紋白蝶が飛ぶように母の背中を団扇で扇ぐ           上野りな

八、眠るたび明日がとんと近くなる遠くにあった明日が今は       睦月くらげ

九、きみに焦がれ明和電機にあこがれてさ 飴いろのストラップの小骨   倉下 鏡

十、一年で一番明るい気がしますカエサルの月 君生まれたり       佐藤和裕

十一、地下鉄が地上にぬける明るさに受け容れられて私を生きる    月館 桜夜子

十二、『明朗』の朗ですという人と会い割り勘にした夏のひととき     小俵鱚太

十三、月明かりだけをたよりに泣き止むよ、あなたもすこしさびしげだから 雨谷詩穂

十四、残業をすれば暗くてしなければ明るい春の帰路もわたしも    吉村 おもち

十五、靴下の片っぽときに行方不明探せ昨日と今日の隙間を         浮沈子

十六、欠員の介護シフトを組み直す 救いの明かりさすと信じて     六浦筆の助

十七、娑婆を出て母は認知の先を行く神のうしろを踏み明け行かむ     井本一郎

十八、しろたえの洗顔フォームあわだてて未明に剥がすやさしい仮面   玖嶋さくら

十九、しらないと明るく言われ何度でも噛んでやるから、おいで苦虫    榎本ユミ

二十、明色のくちは閉ざされ避妊具の寂しさひとつ孕んでおりぬ     鈴木 慶終

二十一、透明のままで産まれた弟が囁くままに押す非常ベル        短歌練習

二十二、巻き貝のなかを明るくするように母は美大はむりよと言った   鳥さんの瞼

二十三、明日から顔認証を求められマスクを外す晩夏 ひとりの      長井めも

二十四、透明の膜まといいる森の秋 ひとつ蝉鳴き匂いが変わる     北原さとこ

二十五、閉経の近きわたしと向き合ひて孫なき母が明太子食む        岡本恵

二十六、ほっといて欲しいと揺れるぶらぶらと明るき色のネームカードが    姫水

二十七、窓を開け閉じた瞼の母が見るこっちの世界は明るいだろか     伊藤一男

二十八、噴水の水の行方をたずねればスマホは明日の雨を告げたり      音羽凜

二十九、明け方の街を徘徊する僕は惰性のような未練をいまだに      松下誠一

三十、先生と約束をしたひとつだけこの髪型はたぶん明菜ちゃん     ちーちゃん

三十一、はずかしいくらい花火は明るくて赤虫を潰しながら見ていた      草薙

三十二、明るくはないけど明と名付けられうかつなことは祖父と同名     悪無限

三十三、暗闇に飛び込む妻の眼球に光が射抜き明王の目に          きよし

三十四、寓意画の寝そべる犬の足のうら明るい方へ歩いて行く人    コイケタツオ

三十五、ちち母を知らぬ年月携えて明日咲く花に願いをこめる          千代

三十六、透明なリンゴは音もなく崩れ 庭 クローバー 夢白いかげ    柏木圭人

三十七、さよならがなんだかやけに明るくてもうあえないとわかってしまう 中嶋港人

※記事の都合上スペース等の形式は統一しています。

次のご報告では受賞作品を発表します!